指先









清麿が何も言わずに私に触れてくる時がある。





私の髪を触る時は、退屈してるか考え事に夢中になっているかのどちらかなのだ。
















遊びに誘っても返事がない時は考え事なのだ。






退屈してる時は返事をしてくれるから解るのだ。




髪に隠れている角にも優しく触るからくすぐったいのだが、もっとたくさん触ってほしいからガマンしてるのだ。



だってこの時の清麿の指は温かくて優しい感じがするから嬉しいのだ。











イジワルな時もあるのだ。











突然ほっぺを引っ張ったり、つねったりするのだ!




痛くなるほどにはしないけれど、ビックリするのだ。



私が嫌がると余計にしてくるのだ。



清麿は時々イジワルなのだが、私以外にイジワルしてるのはあまり見た事がないのだ。

なぜかのう?













ちょっと怖い時もあるのだ。








私の唇に触ってくる時は…ドキドキもするけれど、怖いと感じるのだ。




だってその時の清麿はいつもの清麿と何か違う気がするから。






何が違うのかわからぬが、近づいてくる清麿のいつもと違う目の光を見るのが怖くて目を閉じるのだ。





指だけではなくて清麿の体全部が私に触れてくる。




目を閉じたままシーツや服を握りしめてると、清麿の指が優しく私の手を開くのだ。

























優しくて、イジワルで…時々怖いけれど…私を包んでくれる清麿の指は大きくて、私はやっと安心するのだ。






私の指も清麿のように、言葉に出来ない何かを伝えていけたらよいのに……。



清麿の髪や頬には触れるけれど…唇に触るのが恥ずかしくて出来ないから、清麿が私を抱きしめて眠っている時だけ触れる練習をしてる。



眠ってると思ってた清麿が起きてる時もあって、唇をなぞってる私の指を咥えたりするからビックリする。



そのような事をされたら、いけない事をしていたのを叱られたような気になってとても恥ずかしいのだ。


清麿はそうではないのかのう?

聞いても…清麿は優しく笑うだけで答えてはくれぬ。






ただ、私を抱きしめて唇で触れてくる。





それが答えでもあるかのように……。








END

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